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ANRYU89

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トム・ラブランクの招待

身体は疲れていた。

ネイティブランナー25人と、日本人ランナーおよびサポーター22人、合計47人を無事青森県に送り出さなくては・・・そして、異国で不自由な暮らしが続き、肉体的にも精神的にも疲れていたネイティブランナー達に、少しでも安らぎを与えられたら・・・と、今振り返ると、ただ気力だけで動いていたように思える。

何のトラブルもなく岩手から送り出せた別れ際に、トム・ラブランクが言った。
 「Dr.Bear、俺はお前に救われた。これも、あの偉大なる精霊に導かれてのことだと思う。精霊とお前に、俺は感謝の祈りをするだろう(彼は詩人で、このような、泣かせる文句をぽんぽん語るんだ。てれちゃうぜ)。そして、お前をアメリカによびたい。来年のサンダンスにお前をよびたい。」と。
私は通訳の日本語を疑った。

「今、トムは、『サンダンス』と、本当に言ったのか?」と、思わず聞き返してしまった。
通訳がトムに確認を取る。間違いない。
「どこのサンダンス?」と、私。
「ビッグマウンテンだよ、Dr.Bear!」と、トム。

ポーッとした。見えない目で、トムの顔とおぼしきあたりを凝視してしまった。
天にも昇る思いとは、こんな事を言うのかなと思った。



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